2016年02月19日

解熱鎮痛薬の分類

 解熱鎮痛薬についてみてみましょう👀

 解熱鎮痛薬は、おしなべて「炎症」を抑えることによって効果を発揮します⤴
 「炎症」とは、「何らかの有害な刺激に対する免疫応答によって出現する症候」のことを言います。
 そしてその症候は、発赤・熱感・腫脹・疼痛を伴うというのが特徴的です。これらを、「炎症の4徴候」と呼びます。
 この所見があるときに、「炎症が起きている」と判断するのです👓

 傷を負ったときを思い浮かべてみてください。赤くなって(発赤)、熱くなって(熱感)、腫れて(腫脹)、痛い(疼痛)ですよね。あれはまさに炎症が起きているのです💡
 風邪は「上気道に炎症が起きている状態」と既に述べました。確認してみましょう。ノドは赤くなって痛いし、熱が出るし、リンパ節が腫れたりします。やはり炎症の状態ですね💨

 この炎症のプロセスを遮断する薬が、「解熱鎮痛薬」です。ブロックの仕方は薬剤により様々ですが、大きく以下のように分けることができます。
・ステロイド
・ステロイド以外


 ステロイドは、人類の大発見(発見者はノーベル賞を受賞しています)ともいえる非常に強力な薬です。ただし副作用も多いので、風邪くらいで使うことはありません。切り札的な存在なのです👊
 普通の病気でもっぱら使用するのは、後者の「ステロイド以外」になります🚩


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2016年02月21日

NSAID(非ステロイド性抗炎症薬)

 「ステロイド以外」の解熱鎮痛薬をもう少し詳しくみてみます

 これらは、「非ステロイド性抗炎症薬(Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugs)」と総称されます。
 医学用語では、略してNSAID(エヌセード。複数形NSAIDsエヌセーズとも言います)と呼ぶ一群の薬になります✋

 このNSAIDに含めてしまうこともあるのですが、一種類だけ効果の出方が他とは異なる薬があります。それは「アセトアミノフェン」です🚩

 ですから、ステロイド以外の解熱鎮痛薬は、以下のように分けると最も正確です。
・NSAID
・アセトアミノフェン



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2016年03月12日

総合かぜ薬と解熱鎮痛薬

 脇坂とかいう逮捕されたタレント女医について時事ネタ記事でも書こうかと思ったのですが、書く対象としての価値すら見い出せないので、普通に医学・医療記事を更新します(笑)

 前回、解熱鎮痛薬として代表的な「NSAID」と「アセトアミノフェン」を紹介しました。
 ここで、総合感冒薬PLの成分を復習してみましょう。解熱鎮痛薬の成分としては、「サリチル酸」と「アセトアミノフェン」が入っていましたね💡
 サリチル酸は、NSAIDに分類される薬の中では最も古典的なものです。「アスピリン」と言ってもいいです(厳密には違いますが、まぁだいたい一緒です)。これは、本来は物質名ではなくて商品名なのですが、こっちの呼称のほうがピンと来る人も多いかもしれませんね(「ファミコン」みたいなものです)。
 サリチル酸は、解熱鎮痛作用はさほど強くありません。新世代のNSAID(ロキソニンやイブ)の方がその点は改良されて効き目が強くなっています👊

 アセトアミノフェンは、新世代のNSAIDより強いということはさすがにないですが、ちゃんと十分な用量を使えば、同等くらいの効き目があります✋

 両者とも古典的な薬ですが、他の薬との飲み合わせが問題になることがほとんどなく、比較的気軽に出しやすいということで、PLに配合されているわけですね✨


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2016年09月19日

小林麻央さんの乳癌について

 本人がブログを書き始めたことで、第三者の勝手な憶測でない経緯がわかってきましたので、少しこの話題を皮切りに、癌について書きたいと思います。

 まぁ、あまり私としても言及したい内容ではないのですが、今わかる情報から客観的に判断すると、彼女の生命予後(命の見通しのことです)は、正直結構厳しいものにならざるを得ないです。
 具体的な数字はもちろん私が認識できる範囲ではないですが、おそらく主治医は数カ月とか1年単位で考えているのではないかと推測します。

 私は私生活でも、非医師の友人からは「小林麻央さんって、ぶっちゃけどうなの」とよく尋ねられます。
 こういう会話の中でやりとりをしていると、やっぱり医療系じゃない人の癌の知識は、全く不十分であると痛感します。テレビとかでなんとなくのイメージはあるけれども、やっぱり皆さんきちんとはわかっていないんですよね💧
 そういうのを補完するのが、我々の仕事でもあるわけです。そんなわけで、記事にしようと思いました。


 まず、癌という病気の概念を平易な言葉でおさらいします。
(1)おかしな細胞ができる。
(2)おかしな細胞は、無秩序に増える性質をもっている。だから、最初は1個の細胞であったが、どんどん塊として大きくなる。細胞分裂は、×2の指数関数で増えるので、そのスピードは非常に速い。
(3)おかしな細胞は、その場に留まらず、体液(血液やリンパ液)の流れに乗って、遠くに飛んでいく性質がある。身体のどこか別の場所に1個の癌細胞が定着したら、そこでも(2)と同じように増え始める。これが「転移」である。
(4)最終的に、身体のあちこちで増殖した癌によって、いろいろな臓器が障害を受け、死に至る。


 さて、「癌かもしれない」という疑いが生じたとき、種々の検査を駆使して、診断を行います。
 癌の治療というのはいずれも高いリスクを伴うものばかりですから、「たぶん癌だよ」くらいの適当な手応えで患者に「治療しましょう」と提案するなんてことはできません(「たぶん風邪だよ」とは全く次元が異なる話です)。ですから「間違いなく癌であろう」と言えるまで、できる限りの検査によって推察を突き詰めます👊
 診断の観点には2つあります。
(A)そもそも癌であるのかどうか
(B)癌だとしたら、どのくらい進んでいるのか(ステージ分類)

 まず、(A)の手段ですが、超音波やCT,MRIといった画像検査が手段として挙げられます。身体を傷つけずに撮影できますから、何かしらの画像検査は必ずやります。
 これらだけでも「癌かどうか」は、かなり絞り込むことができるのですが、全く完璧ではありません💦「99%決まり」という典型的な画像所見であればまだしも、「微妙・・・」ということは高頻度にあります。なぜなら、これらの画像検査というのは、実物そのものを見ているわけではなく、あくまで影絵のような間接的な情報でしかないからです。

 そこで、より確実な方法として「生検」という方法があります。これは怪しい腫瘍に針を刺して一部細胞を取ってきて、顕微鏡で観察するというものです。
 もちろん、技術的に空振りして腫瘍を外してしまい、周囲の正常な組織を観察してしまえば「正常です」という誤診をしてしまう可能性は0%でありません。しかし、生検をする医師としては、それだけは絶対に避けようと最大限の努力を払います(生検も1個だけではなく、何個か取ったりします)から、見逃す確率はかなり低いと想定されます(というか、そこは医者を信じるしかないです)。
 ですから、一般的には生検は確定診断として最も信頼性が高いものです。

 そして、(A)の行程によって、「癌であろう」となったら、次は(B)ステージを考えます(ほぼAと同時のこともありますが)。
 そこで、また、特に重要な観点2つに分かれます。
(ア)局所的にどれくらい進んでいるか
(イ)転移があるのか

 まず、(ア)ですが、もちろん腫瘍の近くに重要な臓器があったらそれを潰したりしてダメージが来ますから、そういう所見がないかどうかを見ます。でも、それ以上に大事なのは、一般的には「腫瘍が大きければ大きいほど、転移もしている可能性が高い」という法則が信じられているからです。
 ですから、「大きい(ないしは深い)」ということは、転移をしている可能性が高くなってくるということなのです。
 (イ)はその名の通り、診断のところで述べたいくつかの画像検査でもって、転移があるかどうかをみます。
 ここで注意点が2つあります。
 まず1つは、「原発巣(おおもとの癌のこと)が小さくても転移が起きる」というケースもあるということです。基本的には「原発巣が大きい」ほど、発病してからの時間が長いということですから、転移が起きている可能性も高いわけですが、もう早い段階からサッサと転移をしてしまう癌もあります。当然、こういう癌はやっかいなものです。
 2つ目は、「画像検査の転移巣の診断は、やはり完璧ではない」ということです。CTやMRIで「これは転移病変です」と言えるには、その画像に映ってくるくらいには、転移した癌細胞がその行き先である程度増殖して、病変の塊が大きくなっていないといけません
 転移した癌細胞「1個」とか「数個」とかそんなものを、「影絵」で検出することはできないのです。近年はPETなど、比較的新しい画像技術でかなり細かい転移も検出できるようになってきていますが、やはり細胞レベルで検出するには、「細胞はあまりにも小さすぎる」のです。

 そんなわけで、画像で明らかに転移病変があるなら「転移あり」と診断できますが、画像でないからと言って「転移がない」とは、病気が癌である限り、いかなる場合にも断言することはできません。
 あくまで「画像で見出される範囲の転移病変はない」という表現が正しいです。
 ただ、「わからない」「断言できない」を連発しているだけでは何も始まりませんから、そこは最終的に決断をする必要があります。
 つまり、画像上で転移病変がなくても、原発巣が「大きい(深い)」なら、転移をしている可能性があるので、それを想定した治療をする。画像上に転移病変がなくて、原発巣も十分に「小さい(浅い)」なら、原発巣だけの治療をすればよい。
 ・・・おおまかに言うと、こういう形で治療方針が決定されるわけです。


 続きは、また今度💨


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2016年09月20日

癌治療の三本柱

 小林麻央さんのブログで本人自身から、現在「肺、骨に転移あり」との情報が発せられました。これにて、stageWであることが確定したので、やはり予後に関しては前回書いた通りの予測から外れません(心苦しいですが・・・)。

 さて、前回は癌の診断についての考え方を書きましたので、今度は治療についてです。
 癌の治療戦略には大きく分けて以下の3つがあります。もちろん、ペインクリニックだったり、精神医学的サポートだったり、その他、有効性が確定していない療法(免疫療法など)もあるわけですが、とりあえず2016年現在で有効性が確立されているのはこの3つです。
(1)手術
(2)放射線
(3)化学療法(抗癌剤)

 診断によって、病気が癌であることが確定し、そしてステージ(どくらい進んでいるのか)を分類しました。そのステージによって、上記の治療を組み合わせることになります。
 診断の考え方がきちんと理解できていれば、その理解は難しくありません。
 いくつかの典型的ケースで考えてみましょう(平易な言葉を用います)。

■原発巣が十分に小さく、画像上転移も見当たらない
 これは、(1)で治療します。普通に考えれば、原発巣を取ってしまえば治るはずだという単純な発想です。
 いわゆる早期癌というのはこれです。

■画像上遠隔転移は見当たらないが、原発巣がかなり大きい
 ここからが進行癌です。
 画像上転移がなさそうなので、(1)は基本的にすることになります。しかし、前回述べた通り、「画像で転移が見えないからといって、転移していないとは限らない」という重要な原則があります。細胞1個とか数個のレベルで、転移をしているかもしれません。原発巣が大きい場合、その確率は当然高まります。
 ですから、(1)の手術に加えて、(2)や(3)を組み合わせます。

 放射線は、原発事故の問題でクローズアップされた通り、浴びると健康に悪影響があります。細胞にダメージを与えるからです。
 でも、これは上手に使えば、癌細胞にダメージを与えることにも使えるということです。具体的には、癌細胞がありそうなところに高線量の放射線を当てて、健康なところにはあまり当たらないように設定をすれば、効率的に癌を殺せるわけです。
 (1)手術をした後も、もともと病変があった周囲などには、目に見えないレベルで癌細胞が入り込んでいたかもしれません。また、近くのリンパ節など、局所的な転移が取り切れていないかもしれません(なるべく手術で取りきるように心がけるのですが)。
 だから、原発巣のあった場所の周囲に重点的に放射線を当てたりします。

 (3)の化学療法、すなわち薬は、全身に効かせることができます。全身に薬が回れば、原発巣よりも遥か遠くに転移していた場合、そしてそれが目に見えない細胞レベルのものであったとしても、癌細胞を殺すことができます。
 ですから、手術した後に、抗癌剤を使ったりするのは、そういう目的なのです。

■画像上に遠隔転移がみられる場合
 原発巣から遠く離れた別の臓器に転移、すなわち遠隔転移がある場合、基本的には(3)の化学療法が主な治療手段になります。
 ここまで読んできた方なら、「主な治療手段になる」というより、「それしかない」ということがお分かりいただけると思います。
 画像でみえる遠隔転移がある以上、癌細胞は細胞レベルで全身に散らばっているので、その見える部分だけをモグラ叩きのように手術していったところで、すぐにまた別のところに転移病変が出てくるので、意味がないのです。それになんといったって手術はお手軽に何に対してもできるものではありません。

 なお、姑息的に手術や放射線を行うことはあります。
 例えば、原発巣の大きな病変が圧迫して痛みや障害を出しているときは、治すためではなく、症状緩和のために腫瘍を切除する意味があります。
 同様に、骨に転移がある場合、やはり骨折や強い痛みの原因になりますから、そこに放射線を当てることに意味があります。
 でも、これらはあくまで「治癒」を目的とはしていません。


 近年は、ひと昔、ふた昔前に比べれば、癌の治癒率は大幅に向上してきました。
 しかし、それは「治せる治療」が見つかったということではありません。どうして、治癒率が向上しているかというと、以下のような点にまとめられます。
●早期発見ができるようになった
→健診や人間ドックの普及、診断技術(画像検査や胃カメラ,大腸カメラ)などの向上により、「原発巣が十分に小さく、画像上転移も見当たらない」という段階で見つかる確率が増えてきた。
●治療法自体がよりよく改良されてきた。
→手術や放射線療法は、あまり変わらないですが(といっても進歩していますよ)、化学療法(抗癌剤)に関しては、目覚ましく進歩を遂げています。昔に比べれば、副作用はずいぶん少なくて、効き目も強い薬が多く登場してきています。
 ですが、それでも、「この薬を使えば、癌が全部消えてしまう」というような夢の薬はまだ存在しません。
 

 癌の種類によっては、他にも治療パターンの組み合わせがあります。
 例えば、局所転移がかなりあっても、放射線療法や化学療法がよく効くタイプの癌があるので、ひとまず放射線療法や化学療法を先行してやります。それで本当によく効いて、癌病変が手術できるくらいまで小さくなったら、手術をする・・・こんなこともあるのです。
 おそらく小林麻央さんの場合は、診断された時点で転移があったので、最初から手術はできず、「可能だとしても、先に放射線治療・化学療法を先行させて、それがよく効けば手術をする」という戦略だったのだろうと思います(海老蔵さんの会見の時点でそう思いました)。
 しかし、彼の会見時点で、診断されてから結構時間が経っていました(1年8ヶ月)。最終的な手術を狙っていたとしても、1年8ヶ月も術前療法を先行させたのに手術ができないということは、「よく効かなかった(手術に移行できるほどには病変が退縮しなかった)」ということが推察されました。
 ですから、ここまでの情報で、ステージWの可能性は結構高かったですし、仮に一つ前のステージVだったとしても、抗癌剤の効きが悪いことがもうわかっているので、完全なる治癒は正直望めない状態にあったということがわかります。
 そこにきて、冒頭に述べた情報公開ですから、「やっぱりなぁ」という印象です(T_T)

 よくテレビなどで「癌は治る病気になった」とセンセーショナルに伝えられたりしますが、どういう場合に「治る」のかということを正しく理解しておく必要があります
 「早期発見できて、原発巣が十分に小さく、転移の可能性が低い」ときには、手術を軸に、かなりの高確率(90%以上)で完治が期待できます。
 そして、「原発巣がちょいと大きく、転移の可能性がまずまずある」という場合にも、手術に追加する化学療法等の進歩のおかげで、それなりの確率(70%とか)で完治が期待できます。
 逆に言うと、それら以外は、「癌が体から消える(完治)」は原則的に望めません。「癌を体にかかえたまま、どれだけ生きられるか」の勝負になります。それでも抗癌剤の進歩によって、昔よりはその余命はずいぶん延びたんですけどね。


 続きはまた今度💨

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