booktop
史上最強の英語学習書『SOEL』
全国の書店で好評販売中です!!

中高6年間分の文法・構文・単語・熟語を4in1で一挙に学習できる、革命的な教材です。資格ハイスコアにも直結します。
ライバルに差をつけろ!!
SOELのコンセプトの詳しくは、こちら(連続記事8個)
オンラインサロンを運営中です。aicon_97.gif
月額1000円というリーズナブルな費用で、勉強のコーチングを行っています。動画や教材だけあっても独力ではサボってしまうという方、個別に質問などしたい方などに最適です。主に再受験生が対象ですが、通常の生徒さんや保護者様も歓迎です。興味のある方は、「お問い合わせ」からどうぞ!

2018年08月04日

東京医大 女子一律減点ニュースについて。

 大きなネタが投下されたので、久しぶりに、医療系時事ネタについて書いてみたいと思います。テーマはタイトルの通りです。
 もういろんなところで語り尽くされているので、今さら何か新しいことを付け加えられるわけではないのですが、一応重要な視点をまとめておくと以下が挙げられます。

報道内容が、どこまで真実であるかは実はちょっと不明瞭である。
 「匿名の関係者」の発言だけが報道の根拠になっているので、一応その点には留意する必要があります。「報道が簡単には、信頼できない」ということは、近年になって浸透してきた考え方ではありますが、まだまだガードは緩めるべきではありません。
 ただ、火のないところに煙は立たないというのも事実ですし、なんといっても、一部の医学部においてこの手の得点調整が普通にやられているということ自体は、ずいぶん前から噂されてはいました。だから、それなりに真実であろう、というのが私の印象ですね。

女性というだけで差別など、ありえない。ただし・・・
 世論としてこうであることは必然的です。私なんかは、もとより「勉強や仕事ができて、しかも女性だとことさら素敵じゃん」とか思うタイプなので、なんで世間の男子達が女性を差別したがるのか、いまいちピンとこないところがあるのですが(子供を産む能力を持っていないという点で究極的に男性は女性に対して劣等的な存在であって、逆に仕事とか物理的なパワーとかそういう領域でマウントをとらないと、潜在的なコンプレックスを解消できないのだと個人的に思っています。だから女性差別する男性は、真の意味で低能なことが多い)。

 猿レベルの知能だった人間は、何千年もかけて闘争を繰り広げ、血を流し、試行錯誤しながら、「自由・平等」といった概念を醸成してきました。こういう人類としての進歩的な流れに逆行してしまっている点でも、謗りを免れることはできません。ましてや、日本という先進国の、医学部というハイインテリジェンスなコミュニティの中で、そのような逆行姿勢がみられるというのは情けない限りです(医局という封建制度や、捏造研究の跋扈にも同じことが言えます)。

 しかし、見出しには、「ただし・・・」とつけました。一方で、皆、簡単に批判してるけど、そんな簡単な問題でもないぞ、という気持ちもあります。
 私は、思想史が好物なので、「自由・平等」といった概念が、いかに「当たり前でないもの」なのか、いかに人類が苦労して絞り出してきた概念か、多少は理解しています(少なくとも無勉強な人よりは)。
 一般論として、こうした哲学的価値観について、皆簡単に「当たり前」だと思い過ぎなのです。それは、本件において「女性差別とかありえない!」と批判している側にも同様に言えることです。「差別しちゃいけないなんて当たり前」・・・、その「当たり前」ってどこから来たんでしょう?そこまでわかって(わかろうとして)真摯に批判している人はほとんどいないです。おそらくブーブー批判をしている人達自身が、別のところで色々な他の形の差別を実践していると思いますよ。
 「〇〇人は嫌い」「ブス・ブサイクは嫌い」「収入の低い人は嫌い」「米軍基地は沖縄にあればよいor無関心」・・・などなど。皆一つくらい該当する差別を実践しているはずです。


 確かに、一次試験で点数操作するということは直感的にも「悪いこと」のように感じます。
 ところで、医学部には面接試験というものがあります(学校によっては面接点はかなりのウェイトを占めます)。その面接試験においては、試験官による極めて主観的な採点により、「こいつは暗くてコミュニケーションが下手だから点数を下げる」ということがなされます。
 これは、女性を差別するのと同じくらい、「差別」ではないのでしょうか?
 あと、女子校・男子校という形態がありますね。あれも差別ではないのでしょうか?東京女子医大なんて、男子は絶対入学できないのですが、あれは差別ではないのでしょうか。
 東京医大が「うちは男子を優先してとります」と、あらかじめ選択基準を明示しておけば許されたのでしょうか?いや、なんか、これでも猛批判を受ける気がしますね(その一方で、女子医大はほぼ批判されないでしょう。その差はどこから来るのか?)。

 東京医大を局所的に叩くのは簡単ですが、差別問題を正しく語るには本当は深い見識が必要だということをわかってもらいたいです。
 「欧米からも批判!日本は遅れている!」といったレベルの、本当に軽薄な報道はクソくらえです。自分で勉強して、自分の頭で考えてもらいたいですね。


「ちゃんと働く医者」がとにかく足りない。
 私自身は現役バリバリ、医療の最前線で働いている医師なのでその立場から言いますが(そして、これはまともな医療関係者にとっては自明のことです)、現行の医療システム自体が限界に来ているんですよ。一番、根っこの問題はそれです
 東京医大の上層部だって、「女は下等生物だ」といったような前近代的な理由で差別化したわけじゃないでしょう。本当に、人がいなくて現場が回らないので、あくまで姑息的な手段として男性医師確保優先に動いたと思われます。
 客観的な事実として、女性医師は結婚・出産というイベントによって、医師としての活動度を大きく落とすか、引退してしまうことが多い(もちろん、そうでない人もいますが、やはり多い)ということが厳然とあるわけです。しかも、あいにくその時期は、体力的にも実力的にも、医師として一番活動度が高くあって欲しい20代後半〜30代に丸被りしています。
 そもそも、女性医師は労働強度の低い、マイナー科を進路として選択する傾向が強いですし、せっかく内科や外科に来てくれたなけなしの女性人材すらも抜けてしまう・・・こうして根本的に医療システムを支える「内科医・外科医」は、慢性的に深刻に不足している状態に陥っています。

 私が所属している科コミュニティにおいても、結婚・出産を契機に女性医師の労働力が欠けるというイベントが定期的に発生します。すると、彼女が本来請け負っていた業務を「いったい誰が代わりに負担するのか」という骨肉の争いが毎度のこと生じるのです。100人→99人といったレベルの欠員ではなく、4→3人とか、そういう規模内での変動になるので、このインパクトって本当に大きいのです。
 もちろん基本線としては「みんなでカバーしよう」なわけですが、世の中には働きたい人ばかりじゃないですし、実のところ、他の医師も既にいっぱいいっぱいの労働状況にプラスアルファが乗ってくるわけなので、実際問題「避けられるなら避けたい」という気持ちでいることも確かなのです。
※ちなみにこういう業務の押し付け合い論争が起きる場合、「結婚していない女性医師」からの反発のほうが遥かに強いです。これまた根が深いというか。。
 
 こうした問題はだいぶ以前から言われていますが、「元の原因を断つようにコミットする」ということは、なかなかできません。
 「医者を増やそう」「保育園など、女性医師が働きやすい環境、復職しやすい環境を作ろう」・・・そんな小学生でも出てきそうな対策案は、既にとっくに講じられているか、講じたところでほとんど効果がない程度にピントがずれています(詳細は割愛しますが)。


(1)ハードな科とそうでない科に、もっと給与差をつける。
:体感的に、例えば、内科と精神科は500万円以上年収差がないと不健全です。
(2)「サボればサボるほど得」という労働体系を是正する。
:有能な医師に患者と業務が集中するのに、1円も給料は増えず、むしろ換算時給が下がる。
(3)「固定給が低く、パート給が法外に高い」という歪な収入構造を是正する。
:結婚後の女性医師は、パート医に留まる効率が良すぎて、常勤医師に復帰するインセンティブが全くない。8時間勤務を週2回やれば年収800万(週3回で1000万超え!)ですよ!? ボロ雑巾のように使われる常勤に戻る理由がありません。
(4)そもそも「患者を全員、彼等の要望に最大限応える形で診る」ということを諦める。
:一定のADL基準を満たさない高齢者の医療は全額自己負担にするとか、家庭医を通さないと総合病院を受診できないとか、そういうラディカルな改革をしないと正直持ちません。

・・・この辺りが、改革すべき構造のコアです。
 しかし、既得権益(とか共産党とか)からの抵抗も著しいでしょうし、実際に「未来のトラブルを予見して先に改革しておく」ということは非常に難しいというのが現実だと思います。
 実際のところは、将来、ネガティブな形で(4)を迎える形になって、そこでスクラップ&ビルドするフェーズが来ると思われます。その時に併せて(1)〜(3)を抱き合わせて盛り込んだ改革を業界全体としてできるか、というところが、医療の次の100年を良くするための勝負所なのではないかと思います。
 私個人としては、そのときに改革の力になれるような存在になっていたいという思いはありますね。


 今回の東京医大の問題をもとに、私が思うのは、
実力通りに女子学生を採用し、どんどん女性医師を増やせばよい(7割くらい女性医師になるかも笑。それくらい、高校時代は女子のほうが真面目で好成績が出やすいです)。それで医療現場は崩壊するかもしれないが、むしろ早めに一度崩壊させたほうがよい(そのフェーズを通過しないと、とてもではないが改革できない)。
・・・ということです。もちろん、市民の皆さんには、自立心をもって、自分の健康をいかに守るかを考えてもらう必要があります。



※とらますく講師の生物講義に準拠したテキストや、個人出版物こちら

オンラインサロンを運営中。月額1000円でとらますく講師の学習コーチングを受けられます。興味のある方はこちら

※無料Web学習サービス『MANAVIE』はこちら
一定の質を満たす網羅的講義が完全無料で1万本以上。予算ゼロで最高峰の実力が手に入ります!
MANAVIE_320x50.jpg

ブログランキングに参加中。もしよかったらクリックに協力お願いします。
 人気ブログランキングへ ブログランキング・にほんブログ村へ

2018年04月14日

医療系書籍重版のお知らせ

 さて、この度、2017年に上梓した医療系書籍「Dr.とらますくの採血&静脈ルート確保手技マスターノート(ナツメ出版)」が、重版になりましたので、ご報告させていただきます✨
4816361987.jpg
 一応、これでベストセラー作家を名乗れるようになりましたかね(笑)。

 本書は、「末梢血管穿刺手技の技術論だけで1冊の本にした」という非常にニッチな作品なのですが、よく売れているということは、やはり穿刺技術に関して悩みをかかえている医療従事者(特に新人の看護師)が多いということなんですね。
 まぁ私自身、研修医時代かなり悩んだもので、皆言うことはバラバラだし、ネットで検索しても大した情報がない・・・という原体験をもとにして書いているので、効果的にハマる方も多いのだと思います💡

 重版記念に、たまたまこのサイトを通りすがるかもしれない医療従事者や患者さん向けに、血管穿刺周りのワンポイント追加アドバイスをしたいと思います。

絶対に初心者術者にプレッシャーをかけてはいけない(患者さんの場合は、プレッシャーをかけないほうがいい)」です🚩

 愚かな医療従事者の先輩というものは世の中にたくさんいるもので、下手なのが当然である新人の失敗に対して、叱責したり、「できない奴」認定をして嫌がらせをするなどして、マウントをとろうとしてくる奴がいるんですよね。
 私の研修医時代も、麻酔科ローテート時に、有名なパワハラ上司医師(いろいろな新人をうつに追い込んできた実績のある)がいて、かなりやられました。
 どれくらいパワハラかというと、例えば、静脈ルート確保に失敗したときに「おまえがルートとれないから、スローインダクションにするわ」といって、吸入麻酔薬による麻酔導入にしてくるくらいです(現在は、静脈注射の麻酔薬で素早く麻酔導入するのが一般的なのですが、わざとマスク換気による古典的なノロい導入にする)。医療従事者なら、これがどれくらい酷いレベルの嫌がらせなのか、よくわかると思います。もちろん、改善策のアドバイスなど1ミリもありません。
 そのバカ医者は、私の人生における「絶対に許さないリスト」の上位にランクインしておりますが(笑)、それはともかく、こういうプレッシャーをかけることで、新人はもちろん患者さんにとっても、何一つ良いことはないのです。

 私も、彼のせいで、うつにまでは至りませんでしたが、一時期、静脈ルート確保に関しては完全にイップスになりました(それが上記著作につながっていくのですが)。
 彼のもとを離れてから、イップスが消えたと確実に言えるようになるまで、数年はかかりましたね。逆に言うと、その間は「無用な失敗」をたくさんしたということです。私が無用な失敗をするということは、それだけ「余計に刺されて痛い思いをした患者」がいたということになります💥
 愚かなパワハラ先輩は、「嫌がらせはその時間だけで完了する」とよく思っているのですが、全然そんなことはありません。彼にとっては瞬間的な嫌がらせでも、被害者側にはしばしば永続的な記憶として刷り込まれて、その後何年間にも渡って「苦手意識」などの負の遺産を残すのです。それで間接的に社会に与える悪影響や被害って、非常に大きく増幅されるものなのです。
 まぁ、だから私はパワハラ野郎には相当厳しいです。最近は私自身の立場も上のほうになってきたので、パワハラしてる奴をみかけたら、自分には直接無関係であっても、積極的に潰しにいくようにしています(笑)。パワハラは直接の被害者が反撃できることは、なかなかないですからね(そもそも立場が弱いからパワハラを受けているのであって)。

 患者さん側の視点に立った場合、「プレッシャーかけるな」とまではさすがに言えません。患者である以上、失敗して欲しくないというプレッシャーをかける自由は持っているし、実際その気持ちは妥当なものです。
 ただ、若手の術者に対して「お前なんかで大丈夫なのか?」といったように先に牽制をしてくるタイプの人は、術者をむやみに緊張させて手元を細かく狂わせ、むしろ失敗のリスク(=自分が痛い思いをするリスク)を増大させてしまっているだけなんですよね。結局、自分が損なのです。
 いずれにせよその術者が刺すのであれば、リラックスしてやらせてあげたほうがかえって成功しやすいですから、そう構えておいてもらえると患者さん自身にとって得だと考えてもらえればと思います。

 本当にどうしても失敗して欲しくないのであれば、「痛みに弱いので(/難しくてよく失敗されるので)、最初から上手い人にやってもらいたいです」といったように先に言うのがいいです。そうすると、新人のほうも「患者さんがそう言っているので」と、先輩に振りやすくなります。
 その患者さんの希望という紋所がないと、「なにヒヨってるんだ。うまくなるために、失敗してもいいからチャレンジしなさい」と先輩からも言われてしまいやすいですし、それこそパワハラ上司だと「は?自分でなんとかしろよ」なので、ますますエアポケットに入ります💨 
 「未来の医療従事者を育てるために、少しくらいは失敗は許容できる!」という殊勝な方は、「もし2(1)回失敗しちゃったら、術者を代わってもらってください」と言っておくのがお薦めです✋
 医療従事者の間では「3回ルール」というのがあって、同じ人が3回連続失敗したら手を代えるという慣習があるのですが、個人的に3回はちょっと多い気がします。次のベテラン術者にも「もう失敗は許されない」というプレッシャーがかかってしまいますしね。ですから、1〜2回というところで指定しておくのがいいんじゃないかと思います^^)

  
 ・・・さて、出版社の皆様方には、医療系書籍より教育系著作のほうにもっとアンテナ立ててもらいたいのですが、こちらはまだ私の実力不足のようですね(笑)
 ともかく、引き続きご愛顧いただければ幸いですm(_ _)m


無料学習サービス『MANAVIE』はこちら!
https://manavie.jp/
一定の質を満たす網羅的講義が完全無料で1万本以上。予算ゼロでも、最上位を狙えます。受験勉強、生涯学習のお供にどうぞ!
MANAVIE_320x50.jpg

医療手技についてもっと詳しく知るにはこちら
人気ブログランキング
採血・注射についてもっと詳しく知るにはこちら
にほんブログ村

※ブログランキングに参加しています。クリックしていただけると、とてもうれしいです。更新の活力になりますので、是非ご協力ください!
 人気ブログランキングへ ブログランキング・にほんブログ村へ

2017年11月14日

医療系書籍出版のお知らせ2

 さて、突然ですが、医療系書籍がもう一つ出版になりましたので、お知らせいたします✨

 2017年初頭に「Dr.とらますくの採血&静脈ルート確保手技マスターノート(ナツメ出版)」を上梓させていただきました。
4816361987.jpg
 こちらは、血管穿刺手技の初心者や苦手な人向けに徹底的に技術・コツ論を体系化した書籍になっております。

 この書籍がなかなか好評(?)ということで、秀和システム社より同系統の書籍の執筆依頼を受けまして、この度、改めて「看護の現場ですぐに役立つ 注射・採血のキホン」が世に出る運びとなりました。
 本書は、同社の「ナースのためのスキルアップノート」シリーズのうちの一冊となります。
5174LAWCbZL.jpg

 「看護の現場ですぐに役立つ 注射・採血のキホン」のほうは、「Dr.とらますくの採血&静脈ルート確保手技マスターノート」に比べて、内容を前広に設定しています。
 後者は上記の通り技術論に特化した書籍ですが、今回出したほうは
・注射手技全般(静脈注射のみならず、皮下注や筋注も)
・注射関連薬剤の知識
・注射や採血手技後の看護観察
・医療事故

といった内容も含めて、ジェネラルに針穿刺手技を扱った内容となっています(代わりに、技術論については軽めの記載になっています)🚩

 ご自身が要求する知識に応じてご選択いただければと思います。
 今後も依頼さえあれば、医療関係書籍は出していく可能性がありますので、引き続きご愛顧いただければ幸いですm(_ _)m


無料学習サービス『MANAVIE』はこちら!
https://manavie.jp/
一定の質を満たす網羅的講義が完全無料で1万本以上。予算ゼロでも、最上位を狙えます。受験勉強、生涯学習のお供にどうぞ!
MANAVIE_320x50.jpg

医療手技についてもっと詳しく知るにはこちら
人気ブログランキング
採血・注射についてもっと詳しく知るにはこちら
にほんブログ村

※ブログランキングに参加しています。クリックしていただけると、とてもうれしいです。更新の活力になりますので、是非ご協力ください!
 人気ブログランキングへ ブログランキング・にほんブログ村へ

2017年08月28日

違法臍帯血移植。関係者のあまりの狂いぶりに絶句。

 久々に医療ネタです。以下の通り、芳ばしいネタが投下されましたのでね🚩
*******************************************************************************************
 他人の臍帯血(さいたいけつ)を国に無届けで移植したとして、愛媛など四府県警の合同捜査本部は二十七日、再生医療安全性確保法違反の疑いで、「表参道首藤クリニック」(東京都渋谷区)院長の医師首藤紳介容疑者(40)や、臍帯血販売会社「ビー・ビー」(茨城県つくば市)社長篠崎庸雄容疑者(52)=同市研究学園五=ら計六人を逮捕した。
(中略)
 他に逮捕されたのは京都市の「京都健康クリニック」経営者坪秀祐容疑者(60)や、福岡市の臍帯血卸売会社「レクラン」(閉鎖)元社長井上美奈子容疑者(59)、元社員で息子の小谷治貴容疑者(36)、ビー・ビー元社員で篠崎容疑者の妻の信子容疑者(50)。
 坪容疑者以外の五人の逮捕容疑は、昨年七月ごろ〜今年四月ごろ、首藤クリニックで患者四人に無届けで移植したとされる。篠崎、坪両容疑者ら三人は昨年二月〜今年四月ごろ、別の医師らと共謀し、大阪市の医療施設などで計三人に移植した疑いがある。
(中略)

*******************************************************************************************
元記事はこちら 

そして逮捕者の一人のコメントがこちら
*******************************************************************************************
「顕著に”こんなん治ったか”って。10年間寝たきりで目玉しか動かなかった人がリハビリ出来るように起き上がってきたり。僕が何か(の病気)になったら絶対にする。300万円出しても。裁定を下すなら、早く下してください代官様って感じや」
*******************************************************************************************
元記事はこちら 

 もうね、突っ込みどころが多すぎて、本当に(・ω・)こういう顔になってしまう勢いですね。
 このニュースを最初に聞いたときは、プラセンタのことかな?と思ったんですが、プラセンタではなくて、マジもんの臍帯血移植ということで、またビックリ👀
 違法は論外なんですが、届出をして自由診療だったとしても、臍帯血移植なんてアリなんですかね。
 そして、首藤クリニックは小林麻央を手遅れにした元凶だというし、ド素人丸出しの坪容疑者(彼はクリニックの経営者ということですが、医者じゃないですよね!?)は「さい帯血協会」の理事だというし・・・。もう滅茶苦茶です💣

 さて、知識を整理しておきましょう。
 赤ちゃんが生まれてくるときに、副産物として「へその緒(と胎盤)」が出てきますね。これらは基本的に医療廃棄物であるわけですが、へその緒の中には、少し赤ちゃんの(胎児時代の)血液が残っています。
 この血液には、「造血幹細胞」が含まれていることが知られています。これは有用だということで、捨てるのではなく医療に活用することになりました。

 造血幹細胞とは、「どんな血液成分にもなれる血液系細胞の親玉」みたいな細胞です。ここから赤血球、白血球/リンパ球、血小板など、なんでも作られます。
 これをどう医療応用するかというと、もっぱら血液疾患の患者に対する造血幹細胞移植になります。
 代表的なのは白血病です。白血病は、自分自身の血液系細胞を作る仕組みが「がん」化してしまっているわけですね。これを治療するにはどうしたらいいか。
 これは以下の手順になります。
(1)放射線や大量の化学療法で、自身のがん化してしまった造血幹細胞をメタメタに破壊しきる。
(2)造血幹細胞を移植する。それが正常な血液を新しくつくり始める。

 もう、おかしくなっちゃった自分の造血システムは(正常な細胞もがん化した細胞ももろとも)リセットして、他から正しいものを入れようと。造血幹細胞を移植すれば、それは全ての血液成分に分化できますから、きちんと生着すれば再び血液が正しくつくられる・・・こういうことを目論んでいるのです。
 だから、例えば血液型がA型だった白血病の患者さんが、上記の治療を受けたときに、もしO型の患者さんの造血幹細胞を移植されたら、血液型はO型に変わるんですよ👀(私は研修医時代、そういう患者さんに「血液型占いはどちらを信じればいいのでしょうか」と質問をされたことがあります)。
 普通は、造血幹細胞は「骨髄」に含まれているので、骨髄移植をするのがスタンダードです。でも、骨髄って採られる側(ドナー側)も結構痛いし、大変なんですよね。ですから、「どうせ捨てちゃう臍帯血が使えるなら、一番いいじゃないか」ということで活用されているのです。

 ともかく、造血幹細胞移植というのは、こういう医学的理屈なわけなので、「臍帯血に含まれているよくわからないスーパー細胞が、身体の中の悪いものをやっつけてくれる!」などということは非科学的妄想以外の何物でもありません💧
 上記の血液疾患の治療は(1)の行程で、免疫系を「丸裸」にしているから成り立つのであって(だからこそ、その治療中は重症感染症などのリスクが非常に高く、まさに「肉を切らせて骨を断つ」決死の治療なのです)、普通の人に臍帯血なぞ入れたら、あっという間にご本人の免疫系によって破壊されて終わるだけです(300万円がパーです!)

 まぁ「臍帯血の中に含まれる免疫系細胞ががんをやっつけてくれる」という理屈なら、全く間違ってはいるのですけど、まだ了解可能な面もあります。
 しかし、「10年間寝たきりで目玉しか動かなかった人がリハビリ出来るように起き上がってきたり」・・・これはないでしょう。。この辺、彼の頭の中では、プラセンタとごっちゃになっているのでしょうか?

 ちなみに、プラセンタというのは、胎盤から抽出した成分からつくるサプリメントで、自由診療で扱っているクリニックも結構あります。一応、更年期障害とか美容(コラーゲン産生を増やすとか・・・)に効果があるという能書きなのですが、本当かどうかはよくわかっていません。
 ただまぁ、こちらはあくまで「成分/物質」なので、自費でやる限り「やりたきゃ、やればいいんじゃない」というのが私のスタンスです。だって、効きもしない美容液とかサプリメントは、他にも世の中にワンサカあるので、プラセンタだけ狙い撃ちする道理もないからです💥

 しかし「臍帯血」・・・これは、成分/物質ではなく、生体の細胞を移植してしまっているので、合併症リスクなどの観点からも、いくら自由診療といっても度を越していると個人的には思います。
 そこで謳う効能が、「がんが治る!」というような類のものなら、それに騙された人達が失うものが大きすぎるわけですから。「プラセンタをやってみたけど、更年期障害や美容には効かなかった」というのと、「臍帯血移植をやってみたけど、がんには効かなかった」というのでは、全然事態の重みが異なります
 ましてや本件は無届ということなので、「クズ」としか表現のしようがないです。
 「裁定を下すなら、早く下してください代官様って感じや」じゃないですよ。完全に電波受信しているとしか思えません💦 「僕が何か(の病気)になったら絶対にする」とおっしゃっていますが、既に完全に頭の病気だと思いますので、いますぐ10発くらい臍帯血投与したらどうでしょうか笑(もちろん無届、自費で)

 こういう医療行為をどこで線引きするか、どういうふうに使うかは、残念ながら医者自身の「良心」に任されています。
 そして、世の中には良心などない人のほうが多いので、自分の身は自分自身で守らないといけません。勉強はそのために必要なんですね。
 ニセ医療に食い物にされないため、高校生物の「生物の体内環境」範囲くらいは、皆さんあまねく、必須教養として身に着けておくほうがいいと思いますね🚩いや、ホントに。



無料学習サービス『MANAVIE』はこちら!
https://manavie.jp/
一定の質を満たす網羅的講義が完全無料で1万本以上。予算ゼロでも、最上位を狙えます。受験勉強、生涯学習のお供にどうぞ!

医療についてもっと詳しく知るにはこちら
人気ブログランキング[受験・医師]
医学についてもっと詳しく知るにはこちら
にほんブログ村[受験・病気]

※ブログランキングに参加しています。クリックしていただけると、とてもうれしいです。更新の活力になりますので、是非ご協力ください!
 人気ブログランキングへ ブログランキング・にほんブログ村へ

2017年07月31日

病理解剖の減少

目に留まったニュースがあるので、今回それについて書きます。

https://mainichi.jp/articles/20170731/k00/00m/040/113000c
**************
病理解剖 30年で7割減少 医師多忙、医療の質低下懸念

患者の死亡後に行う「病理解剖」の実施件数が、最近30年間に全国で7割以上も減っていることが、日本病理学会の調査で分かった。医師の多忙や病院の費用負担が理由とみられる。診断・死因の確定や治療効果の確認、新人医師の育成に欠かせないため、医療の質低下への懸念が広がっている。
**************

病理解剖に対するモチベーションって、今現在、本当に微妙なラインにあるんですよね。

ちなみに解剖には大きく分けて4つあります。
■正常解剖:もっぱら医学教育のためにする解剖。研究目的にはもうほとんどやりません(マクロ解剖において、今さら新発見などない)。
■司法解剖:自殺・他殺の疑いがある時に警察がやる解剖。
■行政解剖:司法解剖との区別がつきにくいですが、警察が「まぁ殺害の可能性はなく、病死でしょう」と判断したらこちら。
■病理解剖:担当の医師が死亡の原因や難病の研究のために行う解剖。

病理解剖は、病因で患者さんがなくなったときに、医師から家族に「病理解剖は希望されますか?」と提案します。
ただ、これがまた提案しにくいんですね、最近は・・・。
病院によっては、「患者が亡くなった場合には、必ず病理解剖を希望するか一律的に尋ねること」と規定されていたりしますが、「この方達には、正直提案しにくいなぁ」という場合も結構あります。

時代背景として、昔と違うのは主に以下の三つの点があります。
(1)医者が忙しすぎる
(2)画像診断技術がだいぶ発達した
(3)患者が高齢化した
(4)患者・家族ファーストになった

記事内でも(1)については触れられています。
そもそも患者さんが亡くなっているときは、医者が呼び出されているわけです。それは言い方を変えると、他の業務を一時停止してその場に来ていることになります。また、しばしばそれは夜間の話になります。
病理解剖は大切なことだとわかってはいるけれども、病理解剖に回ってしまうと、さらに休めない、業務を圧迫するということは明白なので、医師側に病理解剖をする強いモチベーションが生じにくいですね。

記事内では「(2)の要素があるといってもまだまだ不十分」というニュアンスですが、これはかなり大きいです。単純X線くらいしか撮れなかった時代は、臨床的な推論と本当に身体の中で起こっていることが一致しているかどうかは、病理解剖でしかすり合わせ(答え合わせ)をすることができませんでした。
医師のウデは、「臨床的な推論」の力に大きく依存していましたので(患者さんが生きている間にはそれに基づいて治療するのですから)、実際、「精度の高い臨床的推論ができる」良い臨床医を育てるためには病理解剖は不可欠だったことは間違いありません。
ただ、現在はCTやMRIなどの画像診断技術はもちろん、様々な検査技術が発達していますので、「死ぬまでに身体の中の状況が全然詰め切れていない」ということはほとんどありません。日本はCTの数が充実しているので、特にそうです。もちろん、CTは影絵をみているだけで、生身の組織を観察しているわけではないので、100%大丈夫というわけではないのですが、病理解剖の要請が減った大きな一因であることは確かです。

(3)(4)は時代の流れに伴ってそうなってきました。
例えば95歳で安らかに大往生した高齢者に、わざわざ病理解剖を提案するのかという問題です。家族だって、「死んでまで身体を切り刻まれるなんて可哀想」という考えを持っている方が多くいます。
大昔は、医者が「病理解剖します」家族「は、はい・・・」という時代もあったのでしょうが、今やそんな状況ではありません。


高齢ながら比較的若年の患者さん(あまりに若すぎても、心情的に難しい)が急変して想定外にあっという間になくなってしまったときなどは、「急変した理由や死因が不明なので、病理解剖をおすすめします」と提案しやすいのですが、それ以外のケースではなかなか難しいのが実情なのです。
「本当は病理解剖するのが理想的だけど・・・」と思いながらも、家族の乱れ方や闘病の経緯などを勘案して、提案を呑み込んでしまうということは、実のところ結構あります。

ちなみに、病理解剖は記事にある通り、費用は全て病院持ちです。そして病院によっては、「いくばくか」の謝礼が出ます。
この「いくばくか」が曲者で、気前のよい病院なら「お葬式代がまかなえてしまう」程度に支払われることがあります。それならそうと言ってくれれば「やってください」という患者さんの家族も、もう少しいるのかもしれません。
もちろん、「お金のために不適切に積極的に家族側から病理解剖を希望する」などということがあるべきではないですし、「あの病院は病理解剖の謝礼が高いor安い」といった変な口コミが生じるのも問題なので、おおっぴらにはしにくいところです。

ただし、このまま放っておけば病理解剖の件数がますます減少することは間違いありません。「人の死に関連して、金の話をするのは美しくない」という意見があるのは重々承知ですが、病理解剖に協力してくれた患者本人や家族に対する謝礼については、明文化することが必要な時代に差し掛かっているのかもしれません。
・医師が適切と考える症例について病理解剖を提案する。これを患者家族が受諾する場合、(法に定める)謝礼が支払われる。
・患者家族から病理解剖を積極的に要請する場合、謝礼は支払われない。
・・・こんな感じの骨子になるでしょうか。

解剖についてもっと詳しく知るにはこちら
人気ブログランキング[受験・医師]
医学・医療についてもっと詳しく知るにはこちら
にほんブログ村[受験・病気]

※ブログランキングに参加しています。クリックしていただけると、とてもうれしいです。更新の活力になりますので、是非ご協力ください!
 人気ブログランキングへ ブログランキング・にほんブログ村へ