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2017年07月31日

病理解剖の減少

目に留まったニュースがあるので、今回それについて書きます。

https://mainichi.jp/articles/20170731/k00/00m/040/113000c
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病理解剖 30年で7割減少 医師多忙、医療の質低下懸念

患者の死亡後に行う「病理解剖」の実施件数が、最近30年間に全国で7割以上も減っていることが、日本病理学会の調査で分かった。医師の多忙や病院の費用負担が理由とみられる。診断・死因の確定や治療効果の確認、新人医師の育成に欠かせないため、医療の質低下への懸念が広がっている。
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病理解剖に対するモチベーションって、今現在、本当に微妙なラインにあるんですよね。

ちなみに解剖には大きく分けて4つあります。
■正常解剖:もっぱら医学教育のためにする解剖。研究目的にはもうほとんどやりません(マクロ解剖において、今さら新発見などない)。
■司法解剖:自殺・他殺の疑いがある時に警察がやる解剖。
■行政解剖:司法解剖との区別がつきにくいですが、警察が「まぁ殺害の可能性はなく、病死でしょう」と判断したらこちら。
■病理解剖:担当の医師が死亡の原因や難病の研究のために行う解剖。

病理解剖は、病因で患者さんがなくなったときに、医師から家族に「病理解剖は希望されますか?」と提案します。
ただ、これがまた提案しにくいんですね、最近は・・・。
病院によっては、「患者が亡くなった場合には、必ず病理解剖を希望するか一律的に尋ねること」と規定されていたりしますが、「この方達には、正直提案しにくいなぁ」という場合も結構あります。

時代背景として、昔と違うのは主に以下の三つの点があります。
(1)医者が忙しすぎる
(2)画像診断技術がだいぶ発達した
(3)患者が高齢化した
(4)患者・家族ファーストになった

記事内でも(1)については触れられています。
そもそも患者さんが亡くなっているときは、医者が呼び出されているわけです。それは言い方を変えると、他の業務を一時停止してその場に来ていることになります。また、しばしばそれは夜間の話になります。
病理解剖は大切なことだとわかってはいるけれども、病理解剖に回ってしまうと、さらに休めない、業務を圧迫するということは明白なので、医師側に病理解剖をする強いモチベーションが生じにくいですね。

記事内では「(2)の要素があるといってもまだまだ不十分」というニュアンスですが、これはかなり大きいです。単純X線くらいしか撮れなかった時代は、臨床的な推論と本当に身体の中で起こっていることが一致しているかどうかは、病理解剖でしかすり合わせ(答え合わせ)をすることができませんでした。
医師のウデは、「臨床的な推論」の力に大きく依存していましたので(患者さんが生きている間にはそれに基づいて治療するのですから)、実際、「精度の高い臨床的推論ができる」良い臨床医を育てるためには病理解剖は不可欠だったことは間違いありません。
ただ、現在はCTやMRIなどの画像診断技術はもちろん、様々な検査技術が発達していますので、「死ぬまでに身体の中の状況が全然詰め切れていない」ということはほとんどありません。日本はCTの数が充実しているので、特にそうです。もちろん、CTは影絵をみているだけで、生身の組織を観察しているわけではないので、100%大丈夫というわけではないのですが、病理解剖の要請が減った大きな一因であることは確かです。

(3)(4)は時代の流れに伴ってそうなってきました。
例えば95歳で安らかに大往生した高齢者に、わざわざ病理解剖を提案するのかという問題です。家族だって、「死んでまで身体を切り刻まれるなんて可哀想」という考えを持っている方が多くいます。
大昔は、医者が「病理解剖します」家族「は、はい・・・」という時代もあったのでしょうが、今やそんな状況ではありません。


高齢ながら比較的若年の患者さん(あまりに若すぎても、心情的に難しい)が急変して想定外にあっという間になくなってしまったときなどは、「急変した理由や死因が不明なので、病理解剖をおすすめします」と提案しやすいのですが、それ以外のケースではなかなか難しいのが実情なのです。
「本当は病理解剖するのが理想的だけど・・・」と思いながらも、家族の乱れ方や闘病の経緯などを勘案して、提案を呑み込んでしまうということは、実のところ結構あります。

ちなみに、病理解剖は記事にある通り、費用は全て病院持ちです。そして病院によっては、「いくばくか」の謝礼が出ます。
この「いくばくか」が曲者で、気前のよい病院なら「お葬式代がまかなえてしまう」程度に支払われることがあります。それならそうと言ってくれれば「やってください」という患者さんの家族も、もう少しいるのかもしれません。
もちろん、「お金のために不適切に積極的に家族側から病理解剖を希望する」などということがあるべきではないですし、「あの病院は病理解剖の謝礼が高いor安い」といった変な口コミが生じるのも問題なので、おおっぴらにはしにくいところです。

ただし、このまま放っておけば病理解剖の件数がますます減少することは間違いありません。「人の死に関連して、金の話をするのは美しくない」という意見があるのは重々承知ですが、病理解剖に協力してくれた患者本人や家族に対する謝礼については、明文化することが必要な時代に差し掛かっているのかもしれません。
・医師が適切と考える症例について病理解剖を提案する。これを患者家族が受諾する場合、(法に定める)謝礼が支払われる。
・患者家族から病理解剖を積極的に要請する場合、謝礼は支払われない。
・・・こんな感じの骨子になるでしょうか。

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