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2016年09月20日

癌治療の三本柱

 小林麻央さんのブログで本人自身から、現在「肺、骨に転移あり」との情報が発せられました。これにて、stageWであることが確定したので、やはり予後に関しては前回書いた通りの予測から外れません(心苦しいですが・・・)。

 さて、前回は癌の診断についての考え方を書きましたので、今度は治療についてです。
 癌の治療戦略には大きく分けて以下の3つがあります。もちろん、ペインクリニックだったり、精神医学的サポートだったり、その他、有効性が確定していない療法(免疫療法など)もあるわけですが、とりあえず2016年現在で有効性が確立されているのはこの3つです。
(1)手術
(2)放射線
(3)化学療法(抗癌剤)

 診断によって、病気が癌であることが確定し、そしてステージ(どくらい進んでいるのか)を分類しました。そのステージによって、上記の治療を組み合わせることになります。
 診断の考え方がきちんと理解できていれば、その理解は難しくありません。
 いくつかの典型的ケースで考えてみましょう(平易な言葉を用います)。

■原発巣が十分に小さく、画像上転移も見当たらない
 これは、(1)で治療します。普通に考えれば、原発巣を取ってしまえば治るはずだという単純な発想です。
 いわゆる早期癌というのはこれです。

■画像上遠隔転移は見当たらないが、原発巣がかなり大きい
 ここからが進行癌です。
 画像上転移がなさそうなので、(1)は基本的にすることになります。しかし、前回述べた通り、「画像で転移が見えないからといって、転移していないとは限らない」という重要な原則があります。細胞1個とか数個のレベルで、転移をしているかもしれません。原発巣が大きい場合、その確率は当然高まります。
 ですから、(1)の手術に加えて、(2)や(3)を組み合わせます。

 放射線は、原発事故の問題でクローズアップされた通り、浴びると健康に悪影響があります。細胞にダメージを与えるからです。
 でも、これは上手に使えば、癌細胞にダメージを与えることにも使えるということです。具体的には、癌細胞がありそうなところに高線量の放射線を当てて、健康なところにはあまり当たらないように設定をすれば、効率的に癌を殺せるわけです。
 (1)手術をした後も、もともと病変があった周囲などには、目に見えないレベルで癌細胞が入り込んでいたかもしれません。また、近くのリンパ節など、局所的な転移が取り切れていないかもしれません(なるべく手術で取りきるように心がけるのですが)。
 だから、原発巣のあった場所の周囲に重点的に放射線を当てたりします。

 (3)の化学療法、すなわち薬は、全身に効かせることができます。全身に薬が回れば、原発巣よりも遥か遠くに転移していた場合、そしてそれが目に見えない細胞レベルのものであったとしても、癌細胞を殺すことができます。
 ですから、手術した後に、抗癌剤を使ったりするのは、そういう目的なのです。

■画像上に遠隔転移がみられる場合
 原発巣から遠く離れた別の臓器に転移、すなわち遠隔転移がある場合、基本的には(3)の化学療法が主な治療手段になります。
 ここまで読んできた方なら、「主な治療手段になる」というより、「それしかない」ということがお分かりいただけると思います。
 画像でみえる遠隔転移がある以上、癌細胞は細胞レベルで全身に散らばっているので、その見える部分だけをモグラ叩きのように手術していったところで、すぐにまた別のところに転移病変が出てくるので、意味がないのです。それになんといったって手術はお手軽に何に対してもできるものではありません。

 なお、姑息的に手術や放射線を行うことはあります。
 例えば、原発巣の大きな病変が圧迫して痛みや障害を出しているときは、治すためではなく、症状緩和のために腫瘍を切除する意味があります。
 同様に、骨に転移がある場合、やはり骨折や強い痛みの原因になりますから、そこに放射線を当てることに意味があります。
 でも、これらはあくまで「治癒」を目的とはしていません。


 近年は、ひと昔、ふた昔前に比べれば、癌の治癒率は大幅に向上してきました。
 しかし、それは「治せる治療」が見つかったということではありません。どうして、治癒率が向上しているかというと、以下のような点にまとめられます。
●早期発見ができるようになった
→健診や人間ドックの普及、診断技術(画像検査や胃カメラ,大腸カメラ)などの向上により、「原発巣が十分に小さく、画像上転移も見当たらない」という段階で見つかる確率が増えてきた。
●治療法自体がよりよく改良されてきた。
→手術や放射線療法は、あまり変わらないですが(といっても進歩していますよ)、化学療法(抗癌剤)に関しては、目覚ましく進歩を遂げています。昔に比べれば、副作用はずいぶん少なくて、効き目も強い薬が多く登場してきています。
 ですが、それでも、「この薬を使えば、癌が全部消えてしまう」というような夢の薬はまだ存在しません。
 

 癌の種類によっては、他にも治療パターンの組み合わせがあります。
 例えば、局所転移がかなりあっても、放射線療法や化学療法がよく効くタイプの癌があるので、ひとまず放射線療法や化学療法を先行してやります。それで本当によく効いて、癌病変が手術できるくらいまで小さくなったら、手術をする・・・こんなこともあるのです。
 おそらく小林麻央さんの場合は、診断された時点で転移があったので、最初から手術はできず、「可能だとしても、先に放射線治療・化学療法を先行させて、それがよく効けば手術をする」という戦略だったのだろうと思います(海老蔵さんの会見の時点でそう思いました)。
 しかし、彼の会見時点で、診断されてから結構時間が経っていました(1年8ヶ月)。最終的な手術を狙っていたとしても、1年8ヶ月も術前療法を先行させたのに手術ができないということは、「よく効かなかった(手術に移行できるほどには病変が退縮しなかった)」ということが推察されました。
 ですから、ここまでの情報で、ステージWの可能性は結構高かったですし、仮に一つ前のステージVだったとしても、抗癌剤の効きが悪いことがもうわかっているので、完全なる治癒は正直望めない状態にあったということがわかります。
 そこにきて、冒頭に述べた情報公開ですから、「やっぱりなぁ」という印象です(T_T)

 よくテレビなどで「癌は治る病気になった」とセンセーショナルに伝えられたりしますが、どういう場合に「治る」のかということを正しく理解しておく必要があります
 「早期発見できて、原発巣が十分に小さく、転移の可能性が低い」ときには、手術を軸に、かなりの高確率(90%以上)で完治が期待できます。
 そして、「原発巣がちょいと大きく、転移の可能性がまずまずある」という場合にも、手術に追加する化学療法等の進歩のおかげで、それなりの確率(70%とか)で完治が期待できます。
 逆に言うと、それら以外は、「癌が体から消える(完治)」は原則的に望めません。「癌を体にかかえたまま、どれだけ生きられるか」の勝負になります。それでも抗癌剤の進歩によって、昔よりはその余命はずいぶん延びたんですけどね。


 続きはまた今度💨

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