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2016年03月08日

シャラポワ選手のドーピング〜メルドニウムの効果とは?〜

 テニスのシャラポワ選手のドーピングがニュースになっていましたので、時事ネタとしてこれについて書いてみたいと思います。
 彼女が使用していたとされるメルドニウムという薬の効用が、案外理解が難しく、私も一生懸命調べてしまったのでその成果発表もかねています(笑)

 まず、前提知識として「L-カルニチン」という物質を知っておかないといけません。
 これは特殊なアミノ酸の一種で、エネルギー源の一種である脂肪酸を、エネルギーを産生する工場であるミトコンドリアという場所へ運搬する役割をもっています。
 これが特に重要な働きをする臓器が心臓です。
 呼吸のエネルギー源には、脂肪酸以外にも糖質(炭水化物)も重要なものとして挙げられるのですが、心臓では脂肪酸をメインで使うという特徴があります(逆に脳なんかは糖分一辺倒です)。
ですから、L-カルニチンが不足すると、心臓で効率よくエネルギー産生ができない、すなわち心臓の収縮力が落ちるという害が生じるわけです。
 L-カルニチンは日本でも薬剤として承認されていて、慢性的な心不全(=心臓の収縮力が弱っている)の患者さんで、カルニチンが実際に低下している人などに投与されます。

 次にいよいよ、シャラポワ選手が使っていたメルドニウムですが、これは「L-カルニチンを低下させる薬」だというんですね。L-カルニチンを合成する酵素である「γブチロメタニンヒドロキシラーゼ」を阻害することで、L-カルニチンを低下させるとされています。しかも、「心臓を保護する作用がある」なんて書かれているのです。
 ここで、いっぱしの医者としては「!!???」となるわけです。
 つまり、前述したように、L-カルニチンは端的に言えば「いいやつ」と考えられるわけで、それを減らすメルドニウムが、なぜそれはそれで「よい薬」とされているのかが、つながらないのですね。

 そこで、一生懸命調べました(笑)。

 原理としては、以下のようになるみたいです。
 心臓が使うエネルギー源は、普段は脂肪酸が優位ですが、もちろん糖質も使わないわけではありません。
 そこで、メルドニウムを使ってL-カルニチンを低下させると、「あぁ脂肪酸はあんまり使えないや」ということで、使用するエネルギー源を、糖質のほうにシフトするらしいのです。
 生化学的な知識になりますが、ブドウ糖(糖質)と、脂肪酸をエネルギー源として比較したとき、単位あたりのエネルギーを生み出す際に消費する酸素(O2)の量は、脂肪酸のほうが多くかかります。
 ですから、特に心筋梗塞の直後などで、心臓が虚血になっている状態(酸素が足りないよ〜という状態)では、メルドニウムを使うことで、酸素の需要を減らすことができ、保護的に働くというわけです。

 ・・・うむ、とりあえず機序はわかりました。
 論文の中には、「L-カルニチンとメルドニウムを両方投与したら、もっとよい効果が出たよ」なんていうのもあって、カルニチンを増やしたいのか減らしたいのかどっちなんじゃ〜という気もするのですが・・・。まぁ、メルドニウムは、「イイ感じに調整してくれる」というチャラいことを言っているみたいです。胡散くさいですね👓
 そんな胡散臭さもあってか(!?いえ、エビデンスが乏しいためです)、日本や米国ではL-カルニチンと違って、メルドニウムは薬剤として認可されていません。

 さて、健康なスポーツ選手が使うと、どうなんでしょう。
 激しい運動をして、心臓の酸素需要は一時的にはすごく高まるでしょうから、確かに使用エネルギー源が糖質にシフトするメルドニウムは有利なのかもしれません♨
 しかし、じゃあ逆にL-カルニチンを使ったら不利になるかって言われれば、そんなこともないと思いますよね(脂肪酸を使う効率が増してエネルギーがよく産生できる)。それこそ両方使えばいいのかもしれません(笑)。L-カルニチンはサプリメントでもありますからね。

 というわけで、興味本位で異様に詳しくなってしまった、シャラポワ・メルドニウム談義でした。
 ただ、今回の件で確実に言えることは、
 アスリートは、禁止リストに指定されていない薬剤の中で効果がありそうなものを、ギリギリを常に攻めながら、ドーピングをしている(者がいる)
・・・ということです。
 シャラポワ選手は、「ずっと昔から使っていて、新しく禁止薬剤に指定されたことを知らなかった云々」と述べているようですが、そもそも使っていたのは、まぎれもなく「ドーピング的意図(薬物を使用して、他選手よりも有利になろうとする)」なのです。シャラポワ選手が心筋梗塞のような虚血性心疾患や心不全のわけがないですからね。
 「問題は、禁止リストに該当していたかどうかじゃない。そもそもお前がスポーツマンシップに反してズルをしようとしていたことだ」という話なんですよ。
 まぁ、上記で解説した通り、メルドニウムにそんなに効果があるのかどうかもちょっと怪しいので、ひょっとするとシャラポワ選手は、法外な金を払って「ドーピングした気にさせられ」、汚い医者の儲けの手段に使われただけなのかもしれません💨

 結局、こんな形でドーピング問題はイタチゴッコが続くので、いかんともしがたいです。病院から処方されて使用した薬剤に関しては、禁止リストに関係なく、いったん全て申告という制度にしたほうがいいんじゃないですかね(領収書みたいに)👊 実運用上、難しいのかもしれませんが。


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